裏方を支える人たち

「女」が主役の吉原でも、それを裏で支えているのは「男」たち。さまざまな役割をになった男たちが、吉原の唯一最大の商品である「遊女」を大切に扱いました。男たちは、年齢に関係なく「若い衆」(わかいし)、「若い者」と呼ばれ、番頭の指図に従い、それぞれ役割を果たします。雑用をこなす男達に加えて、「やりてばばあ」と呼ばれるマネージャーもいました。

【伎夫、見世番、二階番、不寝番、料理番、風呂番、二階廻、掛廻、物書、中郎】

「伎夫」(ぎう)は客の呼び込み役。「牛太郎」(ぎゅうたろう)とも呼ばれます。先頭の番台のようなものに座り、通りすがりの客に声をかけます。金の足りない客がいると、帰りには客の自宅までついて行って集金する役目も果たしました。

「見世番」は見世の中での雑用係。呼び出しのかかった遊女に付き添い、提灯や傘をもって同行します。「二階番」は、遊女と客が性行為を行なう2階の雑用係。部屋をととのえたり、部屋から呼ばれれば用件を聞くなどの役目を果たしました。「不寝番」(ふしんばん)は夜中の見張り番。火の用心などの見回り、もめごとの仲裁などをします。

「料理番」はコック、「風呂番」は風呂を沸かしたり掃除したりする仕事。「二階廻」(にかいまわり)は、部屋の行灯の油をたす役目。性行為の最中でも部屋の油が切れれば入っていくので、客から嫌われます。「掛廻」(かけまわり)は、ツケの集金が主な仕事で、毎日外回りをしています。「物書」は、番頭のとなりで客の名前を記録したり、証文を書いたりする役目です。「中郎」は掃除やごみ捨てなど、雑用全般の担当でした。

【やりてばばあは、遊女のマネージャー】

客は遊女を決めて2階に上がると、「引付部屋」(ひきつけべや)と呼ばれる応接のような部屋に通されます。そこに現れるのが「遣手」(やりて)。遣手は30才を過ぎた元遊女がなるので「遣手婆」(やりてばばあ)と呼ばれました。目端のきく遊女が定年を迎えると、見世に再雇用され遣手になります。

遊女の値段から、酒や食べ物、芸者衆、何時までの滞在予定なのかなど、細かなことをここで取り決めます。時には、客が指名した遊女ではない、べつの遊女を勧めることもあります。見世を儲けさせるため上手に値段交渉をするのが仕事で、遣手婆の腕次第で、見世の利益が変わります。

このように、吉原には遊女以外にさまざまな役割を担った人々が働いていました。