現代の遊郭・飛田新地とは?

吉原遊郭。それは、かつて日本の歴史の一時代に存在した、過去の遺物…。そんなふうに思われている方がほとんどでしょう。確かに、今の時代に遊女を大々的に雇い営業する公娼的な施設は存在しません。しかし、その名残りを感じさせる「現代の遊郭」ともいえる場所が、大阪に存在します。それが飛田新地です。ここでは、吉原を彷彿とさせる魅惑的な風俗街の魅力を紹介します。

【飛田新地とは?】

飛田新地とは、大阪の飛田地区にある風俗街です。女の子が性サービスを提供するいくつものお店が建ち並び、その一帯だけ、独特の雰囲気を醸しています。飛田のお店は、表向きは、「料亭」という形式になっています。料亭ですので、中で接客してくれるのは風俗嬢ではなく「仲居」であり、あくまで料理の提供がメインのサービス業という建前になっています。

訪れる客は、仲居と懇意になり、二階の布団が敷かれているお部屋に案内されてサービスを受けるという形式です。客は仲居と恋愛し、同意の下、同じ布団に入って寝るわけですから、売春ではなく、あくまで「恋愛」として二人の関係は取り扱われます。ちょっと面倒ですが、これが現代の遊郭である飛田新地のシステムです。

ちなみに、料亭ですので、一階には料理やお酒が振る舞われる部屋があります。しかし、料理目当てで飛田を訪れる客は皆無であると想像されます。

【建物や雰囲気は、まさに吉原】

飛田新地の特徴は、まずその建物が江戸吉原を彷彿とさせる建築様式であること。今もこの建物が残る地域は、日本広しといえどもこの地区だけです。飛田新地には、遊郭の建物が今も150軒以上残るといわれます。

女の子の選び方も、昔の遊郭を彷彿とさせます。一応「仲居」である女性が、お店の入り口に座って道行く人々にフェロモンたっぷりの色目線を投げかけます。外を歩くお客が立ち止まってお店に入れば、交渉成立。二階のお部屋で仲居と自由恋愛にふける、というわけです。

建物の様式も客の誘い方も、現代の風俗では見られない一風変わった趣向が凝らされ、地元客のみならず観光で訪れた人々をも魅了します。ちょっと大げさな表現をすれば、サービスを受けるお客はタイムスリップしたような感覚を味わえるのではないでしょうか。

【非合法なのに、なぜ?】

大阪のとある一角に、住宅街や商店街と並んで堂々と展開される飛田新地。表向きは料亭でも、実態を見れば立派な売春地帯です。では、なぜ飛田新地は売春が禁止されている現代において、官憲のメスも受けず、堂々と営業ができるのでしょうか?

飛田のお店は、全て「飛田料理組合」として手続きされています。お店でいかがわしい行為が行われている実態は誰でも想像できますが、やはり形式上は料亭ということになっています。つまり、制服を着た警察官が、現場に踏み込み、その行為を目撃する「現行犯」でも無い限り、摘発されません。つまり、ソープランドと同じで、警察と業者側の「あうんの呼吸」が成立しているというのが実情のようです。

しかし、飛田新地が他の性風俗と違うのは、遊郭の建物をそのまま残すという文化的価値の面です。江戸の吉原に見られるように、遊郭の存在は日本の文化に大きな影響を与えてきた側面があります。今の時代に飛田新地を残す意義は、そうしたカルチャー的要素も見逃すわけにはいかないでしょう。