遊女たちの一日

吉原の休日は、正月元日と七月十三日のお盆だけ。年に二日の休み以外は毎日見世に出て働きます。体調が悪いときには休むこともできましたが、カゼで軽い熱がある程度であれば見世に出されました。客がつく限り、毎晩毎晩違う男たちと床をともにし、朝をむかえます。

吉原の遊女たちにとって、身請けされて吉原を出るまでは、吉原の内側だけが世界です。原則として外に出ることはありませんので、この中で毎日同じような日々を繰り返すことになります。

【遊女たちは日中どうしていたか】

前夜客をとった遊女は朝の見送りをしなければなりませんので、6時ころに起床します。客は一晩しか泊まれないので必ず帰ります。客の着換えを手伝い、別れを惜しむラブラブな会話や抱擁をしたり、朝のセックスを楽しんだりして、また来てくれるよう約束をします。このときの手練手管はとても大切です。

客を大門まで見送りにいき、部屋に戻ると10時ころまで仮眠をします。夜は客と寝ていても何かあればすぐに起きなければならないため、遊女は熟睡していません。そのため、午前中に昼寝が必要となります。仮眠から起きると風呂に入り、朝食です。経営者(楼主)が提供するタダ飯ですが、一汁一菜の簡素なものです。上級遊女の場合は多少のおかずがつき、自分の部屋で食べますが、一般の遊女は台所のわきで簡単に済ませます。遊女の食事は一日2回で、夕食は4時から6時の間に、夜見世が始まる前に食べました。

朝食後は掃除や片付け、化粧をしたりして午後2時には昼見世に出ます。昼見世に来る客の多くはただの見物客やひやかしで、仕事になることはあまりありません。午後4時にはいったん見世がしまるので、夜見世が始まる6時までの間に、客に手紙を書いたり夕食をとったりします。

【夜見世がはじまり客をとる】

午後6時になると各見世に灯りがともり、吉原がにぎやかになります。遊女たちは見世に並び、格子の外を歩く男たちと会話をしたりします。そのうちに、「遣手」から声がかかると客がついた合図です。2階の引付部屋で 客と対面し、部屋に移動して酒を酌み交わして話をします。

吉原の終了時刻は午前2時ですが、ほとんどの店が深夜0時に見世を閉めます。夜来る客のほとんどが泊まりの客なので、客のついた遊女は朝まで床をともにします。客のつかなかった遊女はひとりでゆっくり眠ることになります。

吉原の遊女たちは早朝から深夜まで、年に2日の休み以外は毎日働きました。吉原から出ることもなく、ただひたすら毎晩男性と床をともにする暮らしです。